前回ペダルキックバックとチェーングロースについて書きました。これは静止状態でも起こるリアサスペンションの動きに合わせた変化によるものです。リアサスペンションが駆動(縮む)するとチェーンが伸びる為サスペンション駆動に拮抗する力が発生するというもので、ペダルボブに対しても相殺する力に関わります。
しかし今回説明するアンチスクワットは動的に上に(サスペンションが沈まない方向に)抵抗する力です。最もペダルボブに抵抗する力といって良いでしょう。
のっけからややこしい事を書きますが、アンチスクワットには2種類の要素がありまして、
- タイヤが後ろから押してくる力
- チェーンの引っ張る力で後輪を引きつけようとする力
です。一個ずつ見て行きましょう!
それではタイヤが後ろから押してくる力から
これはオレンジバイクからお借りした画像。青線はリアアクスル(後輪の軸)とメインピボット(前後のフレームを繋いでいる軸)を結んでます。
自転車が加速している時(ペダルを踏み込んでいる時)は後輪が回転し、自転車全体を後ろから押している状態となります。その力は上の写真の青線を介してメインフレームに伝わります。
上の画像ではすこーし前上がりになってるのがお分かりでしょうか?では違う画像
これは上のOrangeのバイクと同じくイギリスのメーカーBTRからお借りした画像。Pinnerです。(クロモリフレームがめちゃかっこいいです…)
写真の加減やライダーが乗ってない事もありますので単純に比較できませんが、下の写真の方が前上がりです。
写真が傾いているのでわかりにくいですけど、GTからお借りしてきたFuryの画像ですこれはもっと上がってます。この構造についてはまた説明の機会を作りたいですが、ハイピヴォットと呼ばれる構造ですね。
この角度が何を意味しているのかお気づきだと思いますが、後輪が押してくる時にこの角度が上向きなほどバイクは上向きに押されるって事です。上向きに押されるという事はリアサスが伸びる方向に力がかかるって事です。もちろんこの力よりもペダルボブで沈む力が大きければ、沈む量が少なくなるだけで結果的には沈みます。逆にアンチスクワット力が勝れば伸び上がることになります。
では次にチェーンの引っ張る力です。
上の写真に描かれた線 緑と青の線はスプロケットのハイ側とロー側から、チェーンリングまでの接線に引いています。ですので緑と青の線の間でチェーンがかかる角度が変速とともに変化する事を意味してます。
ペダルを漕ぐとチェーンが引っ張られますので、上に書いたタイヤが後ろから押してくる力とは別にチェーンがタイヤを引きつける力がかかります。これに関してはタイヤのアクスル(軸)と(シングルピボットの場合)メインピボットで構成される線 いわゆるチェーンステイラインと平行であれば拮抗しますが、ずれていると力が発生します。
上の図でいうと緑のラインが拮抗している状態に近く、青のラインはずれています。ですのでこの場合はあののラインではタイヤを引き寄せる = スクワット(縮ませる)させる作用をします。これがアンチスクワットに対するスクワット力として働くことになります。
これに対応するためには
極端な図ですが、青丸のようにデカいチェーンリングにすると近い状況を作れますが、それはそれで無理があります(笑)
それと、大体の設計においてリアサスが縮むとチェーングロースが大なり小なり発生します。という事はこれも縮ませる力には拮抗するのでより静止状態に近い状態で思いっきりトルクをかけるとチェーンは縮む方向に作用する為結果後輪が持ち上がるアンチスクワット方向に働くこととなります。
というわけで、設計次第でアンチスクワットが100%の場合は理論的にペダルボブは相殺されることになるというわけです。
オイオイ〜アンチスクワット%っていきなりなんだよーって方、もう少し詳しくって方のためにもう少しジオメトリーの見方を説明しますね〜。今日はアンチスクワットってなんだ?ってところでご容赦を!
これって同じ二輪族のオートバイのページも読み漁りましたが、なかなか深いテーマですなあ…どうでも良いけど、英語ページ読み漁ると疲れるぜ…
とりあえず次のテーマはアンチスクワットならぬアンチライズ!ブレーキジャックってやつですな。ボチボチ書いて行きます。
(の前に…とりあえずもう少しアンチスクワットを掘り下げる為、シングルピボットから6BarLinkまでザックリ解説していきます)
ではでは皆様にもよきサイクリングライフを〜!