前回まで色々とサスペンションシステムを見てきたわけですが、気になるものがチラホラと。
前回のシリーズ(全10回)で色々読み進めるうちにコレは!って思ったサスペンションシステムを抜粋してお届けします。
まずはハイピボットです。
ハイピボットとは?って話の前にちょっとお付き合いいただいて、
後輪が地面の上を転がってるとします。そして赤い段差があります。
段差まで来たときには段差の大きさにもよりますがホイールの中心に向かって押す力が働きます。その衝撃を受け流す形でリアサスペンションが駆動しスムーズに乗り越えていく分けですが…
さて、緑に書いたのがサスペンション の駆動方向だとしますと、a.b.c.どの方向に駆動すれば一番スムーズでしょうか?という話です。cは衝撃に向かって縮もうとするので明らかに非効率ですよね。とすればサスペンションの動きと衝撃のベクトルが一致してるのはa。aが一番効率が良いはずです。後斜めに受け流す感じ。
これを実現するためのピボット位置となりますと…
これがメインピボットを仮定した図。aの回転中心はメインフレーム上にはa’で示した位置あたりとなり、続いてb’ c’も書き込みました。
b’の位置がよく見る一般的な位置だと思います。多くのMTBフレームではbの垂直に受け流すのが一番正解とされています。何故か??
その秘密はチェーングロースです。詳しくはチェーングロースの記事に任せますが、フレームよりも遠ざかる動きをするということは、チェーンがのばされてしまうってことです。
この大きすぎるデメリットを克服するアイデアがハイピボットにはあります!
コメンサル Supreme DH です。コメンサルサイトからお借りしてきました。このバイクのメインピボットはどこでしょう?
緑丸の位置です。めっちゃ高い位置にあります。そして普通にチェーンがあるとすると青丸のようにスプロケットが移動して赤線がチェーンラインです。後斜めに円運動する為、こんな雑な絵でも相当距離が伸びてるのがわかると思います。
ペダルキックバック量は三分の一回転ぐらい戻されるのでは?と言った感じ。
しかし…
もうお気づきかとは思いますが、矢印の先に歯車がありまして、いわゆるアイドラープーリーって呼ばれています。こいつのおかげでチェーンが四角く取り回せてる分けです。そしてこのアイドラープーリーがメインピボット上になるということは、メインピボットとリアアクスルの距離が変わらない、サスの動きに対してチェーンが伸びないということとなります!すごい…
これでペダルキックバックが無いのでサスの動きに制限が出にくい、しかも理想的な段差に対する後上方に衝撃を受け流しが出来る!ってことになるわけですね。
チェーンテンションによるリアサスの動きからはことごとく解放されるので頭いい〜って感じですわ。ほんと。
でも…メインピボットが上にあるということはアンチスクワットの数値が凄いことになりそうですね。違うところでデメリットはあるんでしょうね。だいたいこんな長いチェーンならスラムぐらいでしか見たことないです。シマノでは短いです。
それとダウンヒル選手の言葉として聞いた話によると、サスが沈んだ時にホイールベース(前後輪の距離)が長くなるので取り回しがしにくくなることもあるとかなんとか??ここら辺は私にはわからないところですが、ハイピボットを試行錯誤で完成された先人の知恵には頭が下がります。
こちらはGT FURYです。こちらもハイピボット アイドラープーリー付きですね。ちなみにテェーンリングよりも高い位置にメインピボットが来ているのがハイピボットと呼ばれるらしいです。
というわけでロマンを感じつつ今日はこの辺で!ではでは皆様にもよきサイクリングライフを!
次回はハイピボットにこだわるメーカーGTの今は亡きシステムiDriveとAOSについて書きます。