自転車界に関わらず、工業界においてカーボン製品は高い…
ちょっとした小物だとまだ手を出しやすいが、フレーム ホイールなんかは本当に高額になるのがカーボン製品。
しかし、人力で勝負する自転車界に於いて、カーボンの軽量性と剛性には変え難いものがトップグレードはカーボン山盛りである。
そこで、疑問が湧いてくる。いわゆる中華カーボンの存在です。最近では中華カーボンもかなり技術盗用((笑)も進みブランド化されてきているものも多く、少しづつ値段帯も上がってきているのは確か。もちろん台湾製のカーボンのことではないので悪しからず…台湾製は品質管理している製品も多く、メリダ ジャイアントをはじめ、トーケンとかもありますね。ここら辺は安かろう悪かろうではないです。
そもそもカーボンとは材料的に高いのか?と言いますと、もちろんカーボンは元を正せば炭素です。安いです。それを繊維状にし、織り込んだりしてシート状にしてとなるわけで、一番メジャーなブランドはTORAYじゃないでしょうか?一昔前まではカーボンシートを作れる会社は世界で数社ぐらいしか無かったように思います。しかも未だにTORAYが世界シェアの3〜40%を独占し、2位3位も日本企業という感じ。結構カーボン業界は日本が牛耳っていますね。素材技術ではまだまだ日本はトップレベルにいるようです。
もちろんこのカーボン繊維技術は最新鋭の戦闘機だの軍事にも関係しているので、例えばトレックなんかが有名ですが、最高峰シリーズにはアメリカ国内でしか製造できないカーボンが存在し、NATO加盟国内にしか輸出できないとかなんとか?今はマドンとかも入ってきてるように思いますが、一時期日本にも入ってこないグレードがあったような??
というわけで、ここら辺まで話を広げると消されるので(笑 知らないだけ…)ここら辺にして、カーボンはなぜ高いのか?について書きたいと思います。
カーボンシートは世界シェアを見ても結構共通だし、出処はだいたい一緒。現に信じるとするとではありますが、中華カーボンでもTORAYの決まった品番を使っています。実際調べても高くはないので事実でしょう。
しかし、カーボンは引っ張りに強い性質はあっても、圧縮には弱いんですね。元をただせば繊維ですからね。そこを補うのが織り方と織ったシートの重ね方です。ここに各社しのぎを削ります。最終的に強度を出した上でさらに薄くして軽量化したいわけですから。ここら辺でも中華カーボンとの差が出てきて、カーボンだから軽いだろうなんて思って手にしたら意外と重いよ…なんてこともありますからね。
それともっと大変なのが金型…これが大変で、昔よりも自転車のサイズ減ったと思いません?ロードバイクでもSML表示も随分と増えたような??昔みたいにセンチ刻みで頑張ってるのもあるけど、サイズ展開すればするほど、フレーム展開すればするほど金型が必要なわけ。結果的にOEMが増えて、小さなメーカーとかの出すフレームってなんだか同じじゃない?って思えるカーボンバイク増えてますわ…中身まで一緒かどうかは知らんけど…
それと金型以前の問題として、研究開発費。最近ではデジタル技術も発展し、デザイン設計 シュミレーションはある程度コンピューター上でできるものの、最終的には風洞と呼ばれる空気の流れを見る機会で実寸大のデータを取るわけですね。スペシャライズドの風洞は有名だったかな?そんな感しで、企業規模がここら辺になると左右してくるわけですよ。
そんな感じの部分の製造を担うのが世界の工場とも呼ばれる中国というわけで、はいはい推して知るべし技術は流れます…おそらく金型もコピーされたり、古い金型の横流しもあるのではないでしょうか?
というわけで研究開発だのそこらへんは安くなるというわけ。
ここまではなんとなく想像つくと思うんですけど、製造に関わる方から場所時間を変えて数名の意見を聞く機会があり、これが一番驚いた部分。
カーボン製品は出来上がってからの廃棄率がめちゃ高いらしいんですね。下手すりゃ10-20%ぐらいとか?そうなんですよ、カーボンは樹脂で固めたカーボン繊維なので、主体はカーボンのようでいて樹脂なんですね。なので収縮変形率が高い。しかも積層していくので空気が混入すると強度がガクンと落ちるので、見た目ではわからないけどだめなものもあり、検品で弾くというわけ。もちろん専用の炉で固める工程を経て空気を抜きながら行くわけでしょうけどね。(トレックはここら辺が厳しいとかなんとか?有名メーカーはやっぱり高いだけじゃないのね)
これ以上は書きませんが、廃棄率も加えたら、数倍の値段差わかりますよね…材料一緒でもマインド一つで変わるこの値段差。怖い怖い…
それと少し、加えて書きますけど、カーボンは劣化しない神話。これってどうなの?って話ですけど、皆さんもご存知かもしれないですが、カーボンは劣化しません。確かに引き千切れない限り簡単には劣化しない。
(関係ないかもだけど、山好きの私にはカーボンといえば炭素です。炭みたいなもんですよね。炭は土に埋めても炭のままです。安定してます。分解すらされません。それぐらい安定している物質なんですな。なのでバーベキューの後 炭を土中廃棄する輩!絶対ダメだからな!山がなくぞ!)
先ほども言ったようにカーボン素材というものは樹脂強化されたカーボンというべきか、カーボン強化された樹脂というべきか?なんですよね。積層カーボンを焼いたもの いわゆる自動車界で言われるところのドライカーボンはカーボン主体の樹脂強化と言えますけど、自転車界隈はウェットカーボンです。積層してるけど、固めるための樹脂量が多く、常温でも固まるタイプの樹脂です。
まあいずれにせよ樹脂で接着してるのがその根本にあるわけです。その樹脂ってやつが厄介で、樹脂なんて紫外線劣化で10年と持たないよってのが共通の見解。樹脂は劣化します。力によっても湿度温度によっても紫外線でもね。ってことで、カーボンは劣化しない神話はそういうことです。
信じるか信じないかはあなた次第です〜
ってことで皆様にも良きサイクリングライフを〜!